【風俗営業許可申請】構造検査を乗り切るためのポイントとコツ
2024年11月11日
風俗営業許可取得のために申請書や図面類、添付書類を提出した後に実際に営業所内を検査されるのですが、この検査が「構造検査」です。
この記事では兵庫県姫路市の繁華街である魚町、塩町周辺の一般的なテナントビルの貸店舗を例に、構造検査での指摘箇所や対策などを説明していきたいと思います。
目次
構造検査には誰が来るのか?
構造検査には風俗営業許可担当の警察官1人、浄化委員会の職員1人、消防署員2人、役所の建築指導課職員2人の計6人が営業所の構造検査に来られます。
そこに行政書士1~2人、申請者1人の計8~9人となり、規模の小さな営業所では結構混雑したりします。
ちなみに警察と浄化委員会は二人一組でやってきます。
構造検査の日にちはどうやって決めるのか?
構造検査の日にちは、基本的に
- 所轄警察署に許可申請をしたときにこちらが構造検査の日にちを指定する
- 許可申請後、所轄警察署から連絡が来て日にちを指定される
の2つがあります。
経験上、ほとんど②のパターンで日にちが決まります。
警察、浄化委員会、消防、役所も何かと忙しいようで、この4者で日にちをすり合わせて日にちを指定し、こちらがその日にちを承諾するという感じです。
テナントビルの管理が行き届いているかが大事
消防、役所の検査ではテナントビルの管理が行き届いていれば指摘されることは殆どありません。
消防は店舗内の防火・消火設備、役所は店舗内と店舗外の共用部分が建築基準法に合致しているかを見てきます。
なのでオーナー個人に対しての指摘ではなく、ビルを管理している所有者や管理会社に対しての指摘をしてきます。
特に古いテナントビルの貸店舗では管理が行き届いていないことが多く、指摘箇所が列記された書面を渡され管理会社に伝えてほしいとお願いされます。
それでは以下で消防、役所では構造検査で見落としやすいポイントを、警察、浄化委員会では図面類、店舗のどこを念入りにチェックされるか、というのを説明していきます。
役所の建築指導課
役所は店舗の内部、外部の共用部分が建築基準法に合致しているか念入りにチェックされます。
経験上、店舗内の指摘はあまりなく調理場やトイレをチェックしているのをよく見ますが、特に指摘されることが多いのが店舗外部の共用部分になります。
例えば、
●廊下の照明が球切れの場合は交換するように
●非常階段、外部階段までの経路に邪魔になるようなものがあれば設置されていればどけるように
●非常階段、外部階段に出るドアが施錠されていれば開放するように
●ドアが開けにくかったりドアノブが壊れている場合は修繕するように
などです。
基本、管理会社が対応するような箇所を指摘されます。
構造検査までに管理会社に連絡して事前に対応してもらいましょう。
消防署
消防署員は2人のうち1人はボックス席で書類を作成し、1人は店舗内をチェックします。
コンセントの位置と個数をチェックされ、酒棚などでコンセントが隠れていないかもチェックされます。
店舗内にカーペットを敷いている場合は注意が必要で、防炎カーペットでない場合は指摘されます。
防炎カーペットには「防炎」と防炎性能基準をクリアしたタグがついており、ソファやテーブルをどけて確認する消防署員もいます。
入居当時からカーペットが敷いてある場合は事前に管理会社に確認をするか、入居後個人でカーペットを敷く場合は基準をクリアした「防炎」タグ付きのカーペットを購入しましょう。
その他チェックされる箇所は火災報知器が設置されているか、非常口誘導灯が設置されているか、誘導灯の球が切れていないか等をチェックされ、外部共用部分では消火栓や消火器の位置をチェックされます。
警察と浄化委員会
構造検査で行政書士がいちばん緊張するのが、警察と浄化委員会の検査です。
消防、役所よりも少し早めにやってきて検査を始めます。
風俗営業許可担当警察官
風俗営業許可担当警察官は生活安全課の警察官が来られます。
警察は主に風適法に合致しているかを厳しくチェックします。
まず照明のスイッチを何回も点けたり消したりして、どのスイッチがどの照明に対応してるかをチェックします。
また、ボックス席のテーブルとカウンター席のテーブルの上に照度計を置き、照明の明るさが5ルクスを超えているかの確認もされます。
行政書士が間に入る場合は絶対にありえないことですが、調光器(スライダックス)をそのままにして構造検査を受けた場合、まず間違いなくオン・オフのみのスイッチに改修した後に再検査か、その場で撤去を求められます。
高級なお酒やボトルキープのお酒を豪華に見せるために、酒棚の中に照明がある場合はその照明もチェックされます。
風適法は客室内の見通しを良く、外部からの見通しは悪くするのが基本です。
申請に提出する図面は営業所全体、客室、調理場、どこにも属さないその他の部分で構成されています。
その客室部分に見通しを妨げる、1mを超えるような衝立がある場合は撤去しないといけません。
すぐに移動させられる衝立ならいいのですが、工事が必要な衝立や間仕切りなどがあると、客室とし使用できないのでその他の部分として図面を作り直すことになります。
結果、残存部分では客室として成り立たなくなるというこになりかねませんので、特に注意が必要です。
その他確認される箇所としては、入口ドアの見やすい位置に「18歳未満の入店禁止」と、客室内の見やすい位置に「20歳未満のお酒提供お断り」のステッカーや張り紙を掲示していないと指摘されます。
この「18歳未満…」と「20歳未満…」は申請書と一緒に提出する「営業の方法」という様式に、どの位置にどのような大きさで掲示するのか示して提出します。
なのでその「営業の方法」で示された位置にきちんと掲示してあるかチェックされます。
最近では事務用品店やネット通販でもステッカーが売られているので簡単に手に入りますが、自身でWord等で作って掲示していても問題ありません。
【余談】以前こんな物件が・・・
以前、風俗営業許可の相談をいただいたときに店舗内の確認に行かせてもらったのですが、入口を入るとお洒落なプライバシーフィルムを貼ったガラス張りの廊下あり、そのガラス張りの廊下の向こう左側がボックス席、廊下の右手がトイレ、という物件です。
そのガラス張りの廊下をまっすぐ直線に行き、突き当りの右手にカウンター席の部屋があります。
ちょうどアルファベットのTの縦線が廊下、横線左下がボックス席、横線右下3分の1がカウンター席、下3分の2がトイレとクローゼット、横線上左半分がボックス席、ガラスで隔てて隣接して右半分がカウンター席内側という感じです。
その2つの部屋を行き来するのに幅1mちょっとの通路を通る、という店舗でした。
普通に考えれば2部屋で申請するのですが、カウンター席の部屋は16.5㎡以上なかったので、ガラス張りの廊下のプライバシーフィルムと、ボックス席と隣接するカウンター席を隔てるガラスのプライバシーフィルムを剥がして無理やり1部屋として申請しました。
そもそも賃貸物件なのでガラスを撤去する工事はできませんし、契約済みでした。
ただそのときもオーナーの方がボックス席とカウンター席内部とが隣接するガラスのプライバシーフィルムは剥がさないでほしい、ということだったのでそのまま構造検査を受けましたが、警察からフィルムを剥がすように指示され、オーナーは泣く泣くその場で剥がすことになりました。
また、その店舗は7階にあり北側全面が厚めの窓ガラスになっていました。
日中の飲食店営業なら姫路城を眺めながら食事ができるいい物件なのですが、風俗営業法上、外部から容易に客室内を見通せる構造は違法になるのでプライバシーフィルムを貼るなり、防音遮光カーテンで隠すなりしないといけません。
店舗が1階ではなく7階でも同様です。
このように、構造検査では店舗内部の客室は見通し良く、逆に外部からは簡単に見通せないというのが大事なポイントです。
繁華街の貸店舗はラウンジやクラブ、スナックを営業することを前提に作られていることが多いので、大抵の物件は客室内部は見通しが良く、窓もありません。
間取りにこだわりすぎて、複雑な構造の物件には注意しましょう。
浄化委員会
浄化委員会として来られる方は警察OBで、ベテランの職人という雰囲気です。
こちらで作成した図面類を基に、図面通りかどうかミリメートル単位でかなり厳しく店舗内を計測されます。
浄化委員会の方と一緒になってコンベックスを持ち計測の確認を行い、寸法や面積が合わないときは部分部分でどのようにして計測したか根拠を聞かれたり、なぜこのような面積になったのか計算方法も聞かれます。
この計測の確認が構造検査でいちばん時間がかかる作業です。
ピッタリ寸法、面積が合えば問題ないのですが、寸法、面積が合わなかった場合は浄化委員会の方と寸法、面積をその場で直接図面に書き込み、後日補正した図面類のデータを浄化委員会に送付します。
この図面類の作成は、CADなどの図面作成ソフトを使って見やすく正確な図面を作成することが大事です。
弊所では優秀な図面担当行政書士や二級建築士とも業務提携をしており、作業分担による正確で迅速な風俗営業許可申請をすることができます。
その他の注意点
図面完成後はテーブル、椅子、カラオケ、スピーカー等備品の位置や数、種類を変更したりするのは厳禁です。
図面には上記の備品等の位置や個数、高さや幅を書き込んで提出しますので、いざ構造検査で位置も数も種類も違っていたら図面から書き直し、となりかねません。
申請前にお店のレイアウトは良く考えて、納得してから図面に落とし込みましょう。
まとめ
無事、構造検査が終わるとあとは許可証が出来上がるまで待つだけです。
図面の補正がある場合は、補正したデータを浄化委員会に送付し、申請書の営業所面積、客室面積を書き直して補正後の申請書を所轄警察署まで持っていきましょう。
なお、まだ許可は下りていないので接待を伴う営業は絶対にしないでください。
無許可営業になってしまいますので、許可が下りてから営業するようにしましょう。
ここまで構造検査のポイントとコツを説明してきましたが、風俗営業許可の申請はかなり複雑で難解な申請です。
弊所では数多くの風俗営業許可申請の経験があり、正確で迅速な申請を任せていただくことができます。
風俗営業許可のことでご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。