建設業許可取得のための5つの許可要件とは?(経営業務の管理責任者編)
2022年8月21日
建設業の許可を取得するためには、許可要件をすべて満たしている必要があります。
また、許可要件とは別に欠格要件というものもあります。
つまり、申請者が、
- 許可要件をすべて満たしていること
- 欠格要件に1つでも該当していないこと
が、建設業許可を取得するために必要になります。
この記事では、5つの許可要件のうち、経営業務の管理責任者について詳しく解説していきたいと思います。
目次
5つの許可要件
建設業許可を取得するために満たしていなくてはならない5つの許可要件とは、
- 経営業務の管理責任者
- 社会保険の加入
- 営業所ごとに専任技術者の配置
- 建設業許可を取得しようとする者の誠実性
- 財産的基礎又は金銭的信用
の5つです。
欠格要件
消極的な要件として欠格要件というものもあります。
- 許可申請書や添付書類の中に重要な事項について虚偽の記載があったり、重要な事実の記載が欠けていた場合など
- 建設業法第8条各号のいずれかに該当する場合
2.については、例えば、破産者や暴力団関係、建設業許可の取消しや営業停止、刑法関係、成年被後見人や未成年者等です。
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者
まず、1つ目の要件として経営業務の管理責任者の配置が必要です。
これは、建設業に関し、一定の経験を有する者(常勤役員等)を配置し、適正な経営体制を確保する必要があるからです。
そして、この経営業務の管理責任者を主たる営業所(本社、本店など)に最低一人は配置しないといけません。
常勤役員等とは?
業務を執行する社員 | 持分会社の業務を執行する社員 |
取締役 | 株式会社の取締役 |
執行役 | 指名委員会等設置会社の執行役 |
これらに準ずるもの | 法人格のある各種組合等の理事等、上記3つの役員に準ずる地位にあって、具体的な権限移譲を受けた執行役員 |
これらのうち常勤であるものが常勤役員等です。
個人である場合は、その者又はその支配人が常勤役員等になります。
経営業務の管理責任者の経験を有する者とは、常勤役員等が、建設業の経営業務に関して、総合的に管理した経験を有する者を言います。
経営業務の管理責任者になるための必要経験年数
それではどれくらいの経験が必要かというと、
経験期間の地位 | 役職 | 経験内容 | 必要経験年数 |
経営業務の管理責任者 | 常勤役員等 | 経営業務管理責任者としての経験 | 5年 |
経営業務の管理責任者に準ずる地位① | 常勤役員等に次ぐ職制上の地位(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る) | 執行役員等としての経営管理経験 | 5年 |
経営業務の管理責任者に準ずる地位② | 常勤役員等に次ぐ職制上の地位 | 経営業務を補佐した経験※ | 6年 |
根拠法令は、建設業法施行規則第7条1号イ(1)、(2)、(3)
※経営業務を補佐した経験とは、
- 経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって
- 建設業に関する建設工事の施工に必要とされる資金の調達
- 技術者及び技能者の配置
- 下請け業者との契約の締結
などの経営業務全般について従事した経験を言います。
経営業務の管理責任者の必要経験年数を体制で満たす場合
経営業務の管理責任者を1人で満たす場合の他、必要経験を体制で満たすこともできます。
まず1つ目条件として、建設業に関し2年以上の役員等の経験が必要になります。
その2年以上の経験に加えて、
① 建設業に関し、3年以上の役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者の経験 | 財務管理、労務管理、業務運営の業務を担当する者に限る |
② 3年以上の役員等の経験 | 他の業種でもOK |
上記①又は②の経験を有する常勤役員等が1名。
そして2つ目の条件として、上記の常勤役員等を直接補佐する者を付けることが必要になります。
- 5年以上の財務管理の業務経験者を1名
- 5年以上の労務管理の業務経験者を1名
- 5年以上の業務運営の業務経験者を1名
の、計3名ですが、これには例外があります。
常勤役員等を直接補佐する者を1人で兼ねる場合
常勤役員等を直接補佐する者が複数の業務経験者であれば、その1人が常勤役員等を直接補佐する者を兼ねることができます。
財務管理の業務経験 | 建設工事を施工するにあたって必要な資金の調達や資金繰りの管理、下請け業者への代金の支払いを行う部署におけるこれらの業務経験 |
労務管理の業務経験 | 社内や工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続きを行う部署におけるこれらの業務経験 |
業務運営の業務経験 | 会社の経営方針や運営方針を策定、実施する部署におけるこれらの業務経験 |
ちなみに直接補佐する者とは、その名の通り、常勤役員等との間に他の者を介在させることなく、直接指揮命令を受け業務を行うことです。
また、経営業務の管理責任者に準ずる地位、役員等に次ぐ職制上の地位、常勤役員等を直接補佐する者の経験は、許可行政庁の個別の認定が必要になります。
まとめ
このように経営業務の管理責任者は、建設業の許可を取得するための許可要件の1つ目の要件となっています。
つまり許可要件となっているということは、この経営業務の管理責任者が欠けることになってしまうと許可の取消しの対象になってしまいます。
なので経営業務の管理責任者を退任しようと考えている場合は、新しい経営業務の管理責任者を選任しないといけません。
スムーズに選任できるように、次の経営業務の管理責任者になれる人を事前に育てておく必要があります。
経営業務の管理責任者に関してご相談があれば、弊事務所までご連絡ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。